「ナミヤ雑貨店の奇蹟」 東野圭吾

S

角川書店 388ページ 1600円+税
東野圭吾さん 55冊目。昨年12月以来の再会です。連作短編5話構成の厚めの小説となっています。

街の中心から離れたところにある雑貨店 ナミヤ。ここのシャッターの小窓に悩み相談を書いた手紙を入れると、裏手の牛乳箱に答えを書いた手紙が出てきます。悩みを持った人達は、ナミヤ雑貨店に相談に乗ってもらいそれぞれの人生を歩んでいきました。
第1話ではこのナミヤ雑貨店に知らずに忍び込んでしまった三人の若者側の話。第2話、第4話は相談する側の話。第3話はナミヤ雑貨店の店主のおじいさんが悩み相談をやっている時の話。そして最後の第5話は相談者の女性と最初の三人の若者の話。
最初はどうやってこの話が集約していくか、もしかしたら発散して「第2巻目あります」ということになるかと心配していましたが、見事に大団円。

時間、空間がねじ曲がったという「奇蹟」によってナミヤ雑貨店に相談の手紙を出した何名もの人間がつながり、お互いに影響を及ぼし合いながら生きていく。底流には良き心に基づく善行がある。こういう東野圭吾の世界が繰り広げられました。

あいかわらず文章が上手く、解釈しきれなくて読み返すというところは全くありません。このため、ページ数は多いのですが短時間で読み終えられます。
また情景が映画のシーンのように頭の中に描画されます。これも東野圭吾ワールドです。他のベストセラー作家とはワンランク違います。

さて、この作品の仕上がりは・・・。東野圭吾作品の中では中の下くらいです。泣けるわけでもなく、怖がるわけでもなく、淡々と筋を追っていったというところが不満。仕込み時間の不足を感じた作品でした。